エリオット波動とは
エリオット波動とは「相場は5つの上昇波と3つの下降波で構成されるという理論のこと」です。
ラルフ・ネルソン・エリオットが提唱されたチャート理論で、個別銘柄よりも相場全体の動きを捉えるのに適した理論です。
下図が基本となる形です。
また、エリオット波動には3つのルールがあります。
この3つのルールが守られていて、初めてエリオット波動の法則を適用することができます。
波の見つけ方
エリオット波動の波を見つけても、これで合っているのかと不安になる方も多いと思います。
その理由は、見る人によって様々な解釈があり得るからです。波の見つけ方には正解が無いです。
エリオット波動は、短いもので数週間、長いもので100年近い期間になり、短期のエリオット波動が積み重なって長期のエリオット波動を形成します。
上図のように、どの期間で見るかによって、チャートの見え方がく変わってくるのです。赤線で示した長期の第1波の中には、短期の第1波や第2波などが含まれています。
なので、見方を変えると上昇トレンドにも見えるし、下降トレンドにも見えてしまうわけです。
つまり、波の見つけ方はエリオット波動の3つのルールを満たしていることを確認するだけで、それを満たせば全ての解釈が正解です。
重要なことは、それを使って実際にトレードに役立てるために、他の指標と組み合わせることです。
フィボナッチラインとの組合せ
エリオット波動との相性が良いと言われているのが、フィボナッチラインです。(⇒フィボナッチラインの詳しい説明はこちらから)
上図は第4波がどこで反発するかについて、フィボナッチラインを用いて示しています。
トレンドが非常に強ければ、76.4%で反発する可能性が高く、強くなければ50%までは押される可能性があります。50%を割り込んでしまうと、チャートとしては崩れたという判断をせざるを得ません。
実際の相場ではそういったことも多々あるので、しっかり自分の中で基準を持ってトレードすることが大切です。
例えば、61.8%のラインで入って、50%のラインを損切りポイントにおいてトレードするのは、非常に有効なトレード戦略になります。
このようにエリオット波動を捉えて全体の動きを把握して、フィボナッチラインでトレードのタイミングを図ることができます。
ダウ理論との関係
エリオット波動の考案者であるラルフ・ネルソン・エリオットは、エリオット波動の法則をまとめるにあたり、ダウ理論を数年間研究していたと言われています。
ダウ理論には3つのフェーズがあります。①先行期②追随期③利食い期と呼ばれており、下図のイメージです。
利益を出すことを考えると、先行期で買って、利食い期で売るのが一番良いということになります。
そうすると、先行期が終わり、追随期が始まるのはどこなのかという疑問が浮かぶと思いますが、そこで使うのがエリオット波動です。第3波の始点を見つけることができれば、それが追随期のスタートということになります。
このように、エリオット波動はダウ理論と密接な関係があります。
波のモード
上述した通り、エリオット波動理論では相場は5つの上昇波と3つの下降波で構成されると考えます。
そして、この上昇波は「推進波(Motive)」と呼ばれ、下降波は「修正波(Crrective)」と呼ばれています。
言い換えると、大きな波として捉えた時に、トレンドに向いている波は推進波、逆行していると修正波と呼ばれます。
つまり、5つの波で構成される推進波の中でも第2波と第4波は修正波と言うことになります。
この波動現象については、理論的な説明がなされていませんが、3波では上昇しきれないので上昇するためには5波であることが自然であると説明されます。
推進波
推進波には、衝撃波とダイアゴナルトライアングルと呼ばれる2つの種類があります。
衝撃波は一般的な波動で、上述したような基本形となります。
衝撃波について気を付けなければいけないのは、エクステンションと呼ばれる波の延長が頻繁に発生することです。
上図は第3波がエクステンションしている例です。
見てわかる通り、5つ以上の波で構成されているために波の延長として定義されます。
当然、第1波、第5波がエクステンションする場合もあり、実践ではどこがエクステンションするのかは人それぞれで見解が分かれるところなので、神経質になっても仕方がない側面もあります。
一般論として、第3波がエクステンションするのが非常に多いということだけ知っておいて下さい。
ダイアゴナルトライアングルは、第5波がエクステンションする特殊な現象です。
修正波
修正波はトレンドに逆行した波動となり、急こう配になるパターンと横ばいになるパターンで区別されています。
トレンドと逆行という言葉の意味を踏まえると当たり前と言えますが、重要なことは修正波は3つの波で構成されるということです。
推進波のみが5つの波を構成するということは覚えておいて下さい。
修正波のパターンは複雑ですが、ジグザグ、フラット、トライアングルと呼ばれる有名なものがいくつかあります。
具体的には以下のような構成となります。
ジグザグ(5-3-5)
フラット(3-3-5)
トライアングル(3-3-3-3-3)
繰り返しになりますが、エリオット波動には推進波と修正波の2つしかありません。
これらが規則性の中で複雑に組み合わさっているわけです。
様々なチャートパターンを見ていくことで、エリオット波動を株価予測に役立てることができるようになってきます。
基本となる波の形
エリオット波動の基本形は、5つの上昇波と3つの下降波で構成されています。
上昇波を順番に、第1波、第2波、第3波、第4波、第5波と呼び、下降波を順番に、a波、b波、c波と呼びます。
これを図にすると下図となります。
波動には、、それぞれの局面があるので、今回は各波が持つ特徴について説明していきます。
第1破
文字通り最初の波動が第1波となるわけですが、ここはベースを作っている段階です。
三尊やセリクラなど明確な反転トレンドが出てきていて、テクニカル的にこれから上昇が期待できるチャートになってきます。
ファンダ的にも最悪期を脱し回復の兆しが見えてきており、出来高や上昇銘柄も増えてきます。
ただし、まだ下落トレンドと考えるのが大勢であるため、大きな上昇というよりは、やはりベースを作りにきます。
第1波になるのか、一時的な戻しで終わるのか、見極めは非常に難しいですが、その分このタイミングで入るのが最も利益を伸ばせるのは言うまでもありません。
第2破
第2波の基本は第1波の上昇分を大きく戻してきます。
まだ下落トレンドと考える投資家が多い中で売り圧力に押されていく場面です。
ただ、徐々に回復しているので、この売り圧力は徐々に枯れ果てていき第2波がとまります。
大相場のベースは第1波と第2波によって形成されます。
第3破
エリオット波動理論の基本ルールにもあるように、第3波は全波動の中でも最も長くなる波動と言われています。
第3波では、これまでのベースから大きなトレンドが出てきます。
ファンダ的にも明確に改善してきて、相場全体が強気モードになっていくのが特徴的です。
この第3波を狙っていくのが、
第4破
第3波の上昇に対する修正波の役割を担います。
第4波は第5波に向けたベース作りの役割を持つ一方で、上述した通り最も大きい第3波の上昇は終わったので、この上昇トレンド自体の終焉も近づいていることを意味します。
第4波の始点が全体の天井となることもあるので、ここからポジションを持つのはもう遅いことも多いです。
第5破
上昇5波の最後となる第5波では、第3波よりも短い上昇となり、出来高も伴わないことが多いです。
ファンダ的にも不安要素が出始めており、見せかけの相場となりがちです。
ケースは多くないですが、第5波は延長することもあり、その場合はそれなりの出来高を伴い上昇していくこともあります。
ただ、いづれにせよ徐々に勢いは衰えていき、反落することになるので、リスクを取る場面ではありません。
a波
実際に第5波が終わり下げに転じるとa波となりますが、ただの戻しなのかを見極めるのは非常に難しいです。
少し下げたことで魅力的な株価に見えてしまいますが、エリオット波動のa波であればこれから大きな調整が入ることになるため、あまり無理をしない方が良い場面です。
まだまだ投資家心理としてはリスクオンなので、一早く切り替えることが重要になります。
b波
b波はいわゆるダマし上げと呼ばれる上昇です。
こう呼ばれるのは、a波から引き続きまだ買い目線の投資家が多く存在しているからです。
実際には、この上昇で買い圧力を吸収しつつ、徐々に上昇の勢いは失われていきます。
この頃になると、市場でも暴落が近いという意見も出てくるので、ニュートラルな視点で見ていれば気付けるはずです。
c波
c波が本物の暴落と呼べる下げとなります。
b波で買い圧力を完全に吸収しており、ロクな買いも入らず一方的な暴落になる時期です。
こうなると上昇の希望を持つ投資家もほとんどいなくなり、悲観論が市場内を駆け巡ります。
この時点で逃げるのは、時すでに遅しなので、b波までに逃げれるかが生死を分けます。